葬儀の基礎知識と準備

葬儀でのお坊さん手配と費用の相場は

葬儀でのお坊さん手配と費用の相場は
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

宮坂
宮坂
葬儀を執り行う際、多くの方が最初に直面するのが「お坊さんは呼ぶべきか?」「費用はいくらかかるのか?」「どこに頼めばいいの?」といった疑問が次々と湧いてくるのではないでしょうか。

とくに家族葬などの小規模な葬儀では、必要最小限の儀式を希望する方も増えており、お坊さんの手配を迷うケースが少なくありません。

この記事では、お坊さんの役割、お布施の金額相場、内訳、渡し方、について徹底解説します。

葬儀におけるお坊さんの役割とは?

葬儀という厳粛な場において、お坊さんが果たされる役割は、実に多岐にわたります。

まず最も大切なのは、故人の冥福を心から祈り、安らかな成仏を願うことです。お坊さんは、厳かな読経を通じて仏様の尊い教えを説き、故人の魂が安らかにあの世へと旅立ち、穏やかに過ごせるよう手厚く供養をされます。

それと同時に、深い悲しみに沈むご遺族の心のケアも、お坊さんの大切な務めの一つと言えるでしょう。仏教の教えに基づいた言葉や、温かい励ましを通じて、ご遺族の心に寄り添い、支えとなります。

また、葬儀全体が滞りなく、そして厳粛に進むよう取り仕切るのもお坊さんの役割です。式次第の作成から、参列者への心配り、焼香の段取りなど、細部にまで気を配り、故人を偲ぶ大切な時間を整えます。

さらに、故人が仏様の弟子として新たな名前を授かり、安らかに仏の世界へ入るための「戒名」を授与することも、お坊さんの重要な役割です。これは、故人の新たな旅立ちにおける大切な儀式とされています。

そして、お坊さんの役割は葬儀当日だけで終わるわけではありません。初七日、四十九日、一周忌といった節目ごとに行われる法要を通じ、継続して故人の供養を行い、ご遺族と共に故人を偲び続けます。

このように、お坊さんは故人の供養という中心的な役割に加え、ご遺族への精神的な支え、儀式の円滑な進行、そして葬儀後の供養に至るまで、非常に幅広く、そして奥深い役割を担っておられます。故人を安らかに見送る大切な儀式において、なくてはならない存在と言えるでしょう。

家族葬・一般葬におけるお坊さんの必要性

家族葬・一般葬におけるお坊さんの必要性

家族葬は、10〜30名程度の少人数で行う葬儀形式で、費用を抑えつつ故人との時間を大切にできるのが特徴です。小規模でも、お坊さんを招いて読経や戒名授与を行うケースが多く、宗教的な儀式を重視する家庭では手配が望ましいでしょう。

一般葬は、親戚や近隣、知人など幅広い参列者を招くため、儀式の正式さが重視される傾向があります。そのため、お坊さんによる読経が儀式全体を引き締める重要な役割を担います。

お坊さんの手配方法とは?

実際にお坊さんを手配するには、いくつかの方法があります。故人やご実家に菩提寺があるかないかで、手配の手順が変わってきます。

手配のタイミング

お坊さんの手配は、葬儀の日程が決まり次第、速やかに行うことが重要です。特に友引の日を避けたり、火葬場の空き状況に合わせたりする必要があるため、日程調整が難航することも考えられます。

お坊さんの都合も考慮し、できるだけ早く連絡を取り、依頼するようにしましょう。遅くとも、通夜の前日までには手配を完了させておくのが理想です。

菩提寺がある場合

実家や地域に菩提寺がある場合は、直接依頼するのが一般的です。ただし、普段からのお付き合いが必要で、急な依頼は難しい場合があります。

菩提寺とは、先祖代々のお墓があり、法要などを依頼しているお寺のことです。

菩提寺への連絡と依頼の流れ

  1. 訃報の連絡: まず、菩提寺に連絡し、故人が亡くなったことを伝えます。
  2. 葬儀の日程相談: 葬儀の日時や場所(斎場、自宅、お寺など)について相談します。お坊さんの都合も考慮して日程を調整する必要があります。
  3. 葬儀の依頼: 葬儀(通夜、葬儀・告別式、火葬の読経など)の依頼を正式に行います。
  4. 詳細の確認: 宗派の作法、準備物、お布施について確認します。

菩提寺に依頼するメリット・デメリット

メリット:
• 先祖代々お世話になっているため、安心感がある。
• 故人や家の事情をよく理解してくれている場合が多い。
• 納骨やその後の法要についてもスムーズに相談できる。
• 宗派が明確で、迷うことがない。

デメリット:
• お布施の金額が不明瞭な場合がある(「お気持ちで」と言われることが多い)。
• お寺の方針によっては、葬儀の形式や場所に制約がある場合がある。
• 遠方にある場合、お坊さんの交通費や宿泊費が別途必要になることがある。

注意点

お布施の確認: 金額が不明瞭な場合は、過去の慣例や他の檀家の方にそれとなく尋ねてみるか、正直に「失礼ですが、皆様どれくらいお包みされていますでしょうか」と尋ねるようにしましょう。
遠方の場合: 交通手段や宿泊の手配が必要か、費用負担はどうなるかなどを事前に確認しましょう。
無断で他のお坊さんに依頼しない: 菩提寺があるにもかかわらず、無断で他のお坊さんに葬儀を依頼すると、納骨を断られたり、今後の関係が悪化したりするトラブルの原因になります。

葬儀社に紹介してもらう(菩提寺がない場合)

多くの葬儀社は、さまざまな宗派のお坊さんを紹介できる体制を整えています。

葬儀社に依頼するメリット・デメリット

 メリット
• 葬儀全体の流れの中で手配してもらえるため、手間が少ない。
• 葬儀社が間に入るため、お布施の金額が明確に提示されることが多い。
• 希望の宗派のお坊さんを紹介してもらえる。

デメリット
• 紹介されるお坊さんを事前に選べない場合がある。
• 葬儀社や紹介されるお坊さんによっては、お布施が高めに設定されている場合がある。
• あくまで葬儀社と提携しているお坊さんのため、葬儀後の法要などを同じお坊さんに継続して依頼できるか確認が必要。

注意点

故人の宗派を正確に伝える(不明な場合は、本家や親族に確認する)。
お布施の内訳(読経料、戒名料、御車代、御膳料が含まれるか)を確認する。
紹介料などが別途かかるのか確認する。

お坊さん手配サービスを利用する(菩提寺がない場合)

インターネットなどで、お坊さんを直接手配できるサービスがあります。

お坊さん手配サービスを利用する場合のメリット・デメリット

 メリット
• 宗派を指定して、希望に合ったお坊さんを探せる。
• お布施の金額がプランごとに明瞭に提示されていることが多い。
• 全国対応しているサービスが多く、地域を選ばない。
• 菩提寺がない場合でも、安心して依頼できる。

デメリット
• どのようなお坊さんが来るのか、当日まで分からない場合がある(事前に面談できるサービスもある)。
• サービスの質にばらつきがある可能性があるため、運営会社の信頼性を見極める必要がある。
• お寺に所属していないフリーランスの僧侶の場合もある。

選び方のポイント

お坊さん手配サービスを選ぶ際に後悔しないための以下の5つのポイントを確認するようにしましょう。

  • 信頼性: 運営会社の情報(設立年、実績、所在地など)が明記されているか。
  • 宗派の対応範囲: 希望する宗派に対応しているか。
  • 料金体系の明確さ: お布施の金額、追加費用の有無がはっきりしているか。
  • 口コミ・評判: 利用者の声や評価を参考にしましょう。
  • キャンセルポリシー:葬儀の日程変更やキャンセルが必要になった場合の対応の確認

注意点

手配されるお坊さんが、必ずしも特定のお寺に所属しているとは限らない。
葬儀後の法要も同じお坊さんに依頼できるか、その場合の費用などを確認しておく。

自分で探す(インターネット、知人の紹介など)

近隣のお寺に直接問い合わせたり、知人から紹介を受けたりする方法です。

自分で探す場合のメリット・デメリット

メリット
• 直接お寺とやり取りできるため、要望を伝えやすい。
• 信頼できる知人からの紹介であれば、安心感がある。

デメリット
• お寺を探す手間や時間がかかる。
• 宗派が合うお寺を見つけるのが難しい場合がある。
• お布施の金額が不明瞭な場合がある。
• 突然の依頼に対応してもらえない可能性もある。

注意点

宗派を間違えないように、事前にしっかり確認する。
お寺のウェブサイトなどで情報を確認し、電話で問い合わせる際は丁寧な言葉遣いを心がける。

お坊さんにかかる費用(お布施)について

葬儀でお坊さんに支払う金銭は「お布施」と呼ばれます。これはサービス対価ではなく、読経や戒名授与などに対する感謝の気持ちを表すものです。

お布施の意味

仏教における「布施」という修行の一つで、見返りを求めずに施しを行うことを指します。葬儀においては、故人の冥福を祈っていただいた僧侶への感謝の気持ちとしてお渡しするものです。そのため、明確な「料金」ではなく、あくまで「お気持ち」とされています。

お布施に含まれるもの

一般的に、お布施には以下のものが含まれることがあります。

  • 読経料: 通夜、葬儀・告別式、火葬場などでの読経に対するお礼。
  • 戒名料: 故人に授けられる仏弟子としての名前「戒名」に対するお礼。戒名の位によって金額が大きく変動します。
  • 御車代: お坊さんに斎場や火葬場まで足を運んでいただいた際の交通費。送迎を手配した場合は不要です。
  • 御膳料: 通夜振る舞いや精進落としなどの会食にお坊さんが参加されない場合に、食事代としてお渡しするもの。

お布施の相場(全国)

お布施の相場(全国)

お布施の金額は、地域、宗派、お寺の格、戒名の位、葬儀の規模(日数や読経の回数)などによって大きく変動します。菩提寺か、葬儀社紹介か、お坊さん手配サービスかによっても目安は変わってきます。あくまで一般的な目安として参考にしてください。

読経料(通夜・葬儀・告別式・火葬): 15万円~35万円程度

読経料は15万円〜35万円が平均額の目安とされています。僧侶の人数やお経を読んでもらう回数が増えると、それに合わせてお礼も多くなります。

お坊さん手配サービスの場合、セット料金で15万円~25万円程度で提示されることが多いです。

戒名料:10万円〜100万円程度

戒名は必ずしもつけなければならないものではありません。また、生前戒名を受けている場合もあります。菩提寺がない場合は、戒名なし(俗名のまま)や、比較的安価な戒名(信士・信女)を選ぶ方も増えています。

戒名のランク お布施の相場(目安)
信士(しんじ)・信女(しんにょ) 10万円~30万円程度
居士(こじ)・大姉(だいし) 30万円~50万円程度
院信士(いんしんじ)・院信女(いんしんにょ) 50万円~70万円程度
院居士(いんこじ)・院大姉(いんだいし) 80万円以上

御車代: 5千円~1万円程度(遠方の場合は実費)

遠方からお坊さんが来る場合は、宿泊費なども考慮し多めに用意しましょう。

御膳料: 5千円~2万円程度

葬儀によっては会食をおこなわず、参列者にお弁当を配布する場合は、お弁当をお坊さんに渡しても特に問題はありません。

菩提寺か手配サービスかで相場が変わる可能性

菩提寺を利用する場合は、長年のお付き合いや信頼関係に基づいて金額が決まるため、相場というよりも「慣例」に近い場合があります。「お気持ちで」と言われることが多く、檀家総代や他の檀家の方に相談して決めることもあります。

お坊さん手配サービスなどを利用する場合は、料金体系が明確に提示されることがほとんどです。利用者が安心して依頼できるように、料金体系はプラン化されており、読経料と一般的な戒名料がセットになっていることが多いです。

お布施のマナー:渡し方とタイミング

お布施の包み方と表書き

お布施を包む際には、いくつかのマナーが存在します。

準備するもの
奉書紙(ほうしょがみ)または白い無地の封筒: 郵便番号欄などがない、真っ白な封筒を選びます。不幸が重なることを避けるため、二重封筒は使いません。奉書紙で包むのが最も丁寧です。
濃墨の筆ペンまたは毛筆: お布施には薄墨ではなく、濃墨を使用するのが正式なマナーです。
袱紗(ふくさ): お布施を直接手で持たず、袱紗に包んで持参します。紫や紺、深緑などの落ち着いた色のものを選びましょう。

表書き、裏書きの書き方
表書き
• 上段中央に「御布施」または「お布施」と書きます。
• 下段中央に、喪主の氏名(フルネーム)または「〇〇家」と書きます。

裏書き
• 封筒の裏側左下に、金額、住所、氏名を書くのが一般的ですが、お布施の場合は金額を記載しないことも多いです(お寺によっては記載を求められる場合もあります)。葬儀社や手配サービスを利用し、金額が明確な場合は記載しても問題ありません。
• 中袋がある場合は、中袋の表に金額(旧漢字で「金伍萬圓也」など)、裏に住所・氏名を書きます。金額を改ざんされないように、「也」や「〆」などの記号を用いることもあります。

お金の入れ方
• お札の向きを揃え、肖像画が封筒の表側・上側に来るように入れます。新札でなくても構いませんが、あまりにも汚れたお札は避けましょう。

お布施を渡すタイミングと渡す際のマナー

お布施を渡すタイミングは、葬儀の前後どちらでも構いませんが、一般的には葬儀後にお渡しすることが多いようです。

葬儀後にお渡しする場合は、僧侶が帰られる際にお渡しするのがスムーズです。 事前に渡す場合は、葬儀の打ち合わせ時や、挨拶に伺った際にお渡しするのが良いでしょう。

お布施を渡す際には、「この度は大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。こちら御布施でございます。お納めください」や「本日は〇〇(故人名)のため、お心のこもったお勤めをいただき、誠にありがとうございます。些少ではございますが、どうぞお納めください」など、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

お布施を渡す際には、直接手渡しするのではなく、切手盆や袱紗(ふくさ)に載せてお渡しするのが丁寧なマナーです。切手盆がない場合は、袱紗だけでも構いません。お布施を渡す際には、僧侶の方を向き、両手で丁寧に差し出します。

よくある質問Q&A

こお布施の金額がわからない場合は?

お寺に直接尋ねても問題ありません。「お気持ちで」と言われた場合は、相場表を参考にして10〜30万円を目安に用意しましょう。

お坊さんに渡すのはお布施だけ?

基本的にはお布施だけで構いませんが、遠方から来られる場合は「御膳料(5千〜1万円)」「お車代(5千〜1万円)」を包むのが一般的です。

菩提寺がない場合は?

葬儀社経由や僧侶派遣サービスを利用すれば、宗派指定も可能で安心です。

まとめ

葬儀でお坊さんを手配することは、故人を偲び、安らかな旅立ちを願う上で非常に大切なことです。しかし、初めて葬儀を執り行う方にとっては、分からないことや不安なことも多いでしょう。

この記事が、「葬儀 お坊さん」「費用」「手配」に関する皆様の疑問や不安を少しでも解消し、心穏やかに故人をお見送りするための一助となれば幸いです。もし、さらに具体的な相談が必要な場合は、信頼できる葬儀社や、お坊さん手配サービスに問い合わせてみることをお勧めします。

大切な方との最後のお別れが、温かく、心に残るものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。