この記事では、心温まるお礼状を作成するためのポイントを、例文を交えながらご紹介します。香典へのお礼状の重要性や基本マナーはもちろん、相手別(親族、友人、会社関係者など)に合わせたお礼状例文を掲載。さらに、送る時期や方法についても詳しく解説いたします。
「葬儀後」の慌ただしい日々の中でも、失礼なく、感謝の気持ちが伝わるお礼状を作成できるよう、ぜひこの記事を参考にしてください。
香典へのお礼状の重要性と基本

お礼状の役割とは
香典へのお礼状は、故人の霊前にお供えいただいた香典に対する感謝の気持ちを伝えるためのものです。これは、故人を偲び、遺族を支えてくださった方々への、礼儀として非常に重要な意味を持ちます。
お礼状は、単なる形式的なものではなく、故人の冥福を祈ると共に、残された家族が新たな生活へと進むための、心のこもったメッセージを伝える機会となります。
香典を受け取ったことへの感謝はもちろん、葬儀に参列していただいたこと、弔電をいただいたことなど、様々な支援に対する感謝の思いを丁寧に表現することが大切です。
また、お礼状は、今後の関係性を円滑にするための役割も担っています。故人と親交のあった方々、または遺族と親しい関係にある方々に対して、感謝の気持ちを伝えることで、良好な関係を維持し、深めることができます。
お礼状に必要な要素
香典へのお礼状には、いくつかの重要な要素を含める必要があります。まず、香典をいただいたことに対する感謝の言葉は、最も基本的な要素です。
具体的に香典の金額に触れる必要はありませんが、ご厚志に対する感謝の気持ちを明確に伝えましょう。
次に、葬儀や法要が無事に終わったことを報告します。これにより、参列者や香典を送ってくださった方々は、故人の冥福を祈る気持ちが一区切りついたことを知ることができます。また、滞りなく法要を終えられたことへの安堵の気持ちも伝えることができます。
故人が生前お世話になったことへの感謝の言葉も、お礼状には欠かせません。故人がどのようなお付き合いをしていたのかを振り返り、具体的なエピソードを交えながら感謝の気持ちを伝えることで、より心温まるお礼状になります。
香典返しの品物を送る場合は、その旨を記載します。品物を選んだ理由や、感謝の気持ちを込めて選んだことを伝えることで、相手に対する配慮を示すことができます。品物の金額や詳細な説明は不要ですが、感謝の気持ちと共に、品物がお手元に届くことを伝えることが大切です。
最後に、今後の変わらぬお付き合いをお願いする言葉を添えます。故人が亡くなった後も、遺族との関係を大切にしていただきたいという気持ちを伝えることで、今後の良好な関係へと繋げることができます。
香典へのお礼状作成の注意点
句読点の使用を避ける
香典へのお礼状を作成する際、句読点の使用は避けるのが一般的です。これは、句読点が文章を区切る役割を持つため、「物事が途切れる」という意味合いを連想させるからです。
特に弔事においては、不幸が繰り返されることを避けるという考え方があるため、句読点の使用を避けることがマナーとされています。
代わりに、読点の代わりにスペースを、句点の代わりに改行を使用します。スペースを入れることで、文章の区切りを明確にし、読みやすくすることができます。また、改行を入れることで、文章にリズムを与え、相手に伝わりやすくすることができます。
ただし、近年では、句読点の使用に寛容な考え方も広まってきています。特に親しい間柄であれば、句読点を使用しても問題ないとされることもあります。しかし、目上の方や会社関係者など、正式な場面では、句読点の使用を避けるのが無難です。
忌み言葉・重ね言葉を避ける
香典へのお礼状では、忌み言葉や重ね言葉を避けるようにしましょう。忌み言葉とは、不幸を連想させる言葉のことで、「消える」「絶える」「浮かばれない」などが挙げられます。
これらの言葉は、故人や遺族に対する配慮を欠いていると見なされる可能性があるため、使用を避けるべきです。
重ね言葉とは、「重ね重ね」「ますます」「再び」といった、同じ言葉を繰り返す表現のことです。重ね言葉は、不幸が繰り返されることを連想させるため、お礼状では避けるのがマナーです。
代わりに、別の言葉や表現を用いるようにしましょう。例えば、「消える」の代わりに「亡くなる」、「絶える」の代わりに「途絶える」、「浮かばれない」の代わりに「安らかに眠る」といった言葉を使うことができます。
また、重ね言葉の代わりに、「深く」「心から」「改めて」といった言葉を使うことで、感謝の気持ちをより丁寧に伝えることができます。
宗教・宗派に合わせた表現
香典へのお礼状を作成する際には、宗教・宗派に合わせた表現を用いるようにしましょう。仏式、神式、キリスト教式など、宗教・宗派によってお礼状の書き方が異なります。
宗教・宗派に合わせた表現を用いることで、故人や遺族に対する敬意を示すとともに、失礼のないお礼状を作成することができます。
例えば、仏式では「ご冥福をお祈りします」という表現を使いますが、神式やキリスト教式では使いません。神式では「御霊のご平安をお祈り申し上げます」、キリスト教式では「安らかな眠りを心よりお祈り申し上げます」といった表現を使用します。
また、仏式では「供養」という言葉を使いますが、神式やキリスト教式では使いません。神式では「慰霊」、キリスト教式では「追悼」といった言葉を使うことができます。
お礼状の最後に添える言葉も、宗教・宗派によって異なります。仏式では「合掌」、神式では「再拝」、キリスト教式では「アーメン」といった言葉を使うことができます。
宗教・宗派に合わせた表現を用いるためには、事前に故人や遺族の宗教・宗派を確認しておくことが大切です。もし、宗教・宗派が分からない場合は、一般的な表現を用いるようにしましょう。
相手別お礼状の例文とポイント

一般的な例文
忌み言葉やマナーに気をつければ、細かい部分の言い回しを変えても問題ありません。
亡妻 〇〇〇儀死去に際しましては 御多忙のところ ご会葬いただきましたうえ 御鄭重なるご香料を誠にありがとうございます おかげさまをもちまして四十九日の法要を無事に済ませましたことをご報告いたします
つきましてはご芳志のお礼と致しまして 心ばかりの品をお届けさせて頂きますので何卒ご受納ください 本来であれば拝眉の上御礼申し上げるところ 略儀ながら書中をもってご挨拶にかえさせていただきます
令和〇年〇月〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
親しい方へ送る例文
お陰様で〇月〇日
〇〇〇〇〇(戒名)
無事四十九日の法要を相営むことができました
親しい皆様に見送って頂き父もさぞ喜んでいることでしょう
故人生前中のひとかたならぬご厚誼に心より感謝申し上げます
つきましては 供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げますのでご受納くださいませ
本来であれば直接ご挨拶に伺いお礼を申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
会社関係者への例文
普段より格別のご厚情を賜り 心よりお礼申し上げます
このたび 亡〇(続柄)〇〇(故人名) 葬儀に際しましてはご丁重なご芳志とご弔電を賜り 厚く御礼申し上げます
また 故人が生前 仕事を通じて格別のご厚情を賜りましたことを 故人に代わり心より御礼申し上げます
お陰様をもちまして四十九日法要も滞りなく営ませていただくことができましたので ここにご報告申し上げます
つきましては心ばかりの品をお送りいたしましたので
ご芳志のお礼としてどうかお納めくださいますようよろしくお願い申し上げます
本来ならば拝眉のうえでお礼を申し上げるべきところ 失礼ながら書中にてのご挨拶となりますことをご容赦頂きますようお願い申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
友人への例文
このたび 亡〇(続柄)〇〇(故人名)葬儀に際しましては
ご多用中にもかかわらずご会葬いただいたうえ過分なお心遣いをいただき
誠にありがたく厚く御礼申し上げます
故人を亡くし悲しみに暮れていましたが 〇〇さんが寄り添い気にかけてくださったおかげで何とか乗り越えていけそうです 本当にありがとうございます
おかげをもちまして このほど
四十九日の法要を滞り無く相済ませました
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け致しましたので ご受納くだされば幸いです
まずは書中をもちまして心より御礼を申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
仏式の場合の例文
このたびは亡〇(続柄)〇〇(故人名)葬儀に際しましては
ご多忙にもかかわらずご香典を賜り厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして〇月〇日に四十九日の法要を無事すませることができましたことをご報告いたします
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納くださいませ
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところではございますが 失礼ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
神式の場合の例文
このたびは亡〇(続柄)〇〇(故人名) 帰幽の際は御懇篤なる御弔慰ならびに御玉串料を賜り 篤く御礼申し上げます
おかげさまをもちまして 無事に五十日祭も相営むことができました
つきましては 心ばかりの品をお届けいたしますので 何卒お納めくださいますようお願い申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもって御挨拶申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
キリスト教の場合の例文(プロテスタント)
御尊家御一同様には益々御清祥にお過ごしの御事と存じます
先般 亡〇(続柄) 〇〇(故人名)儀 召天に際しましては御鄭重なる御芳志を賜り
誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして このほど 記念式を滞り無く相済ませました
つきましては偲び草のしるしとして心ばかりの品をお届け致しましたので
何卒御受納くださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきとは存じますが
略儀ながら書中をもちまして御挨拶申し上げます
令和〇〇年〇〇日
住所
喪主 〇〇(喪主の名前)
カトリックの場合には、亡くなることを「帰天」と表現し、亡くなってから30日後の「追悼ミサ」の後で返礼の贈り物をすることが一般的です。
お礼状を送る時期と方法
送る時期
香典へのお礼状を送る時期は、故人の四十九日法要後、1ヶ月以内が目安とされています。四十九日法要は、故人の霊が仏様になるための重要な儀式であり、この法要を終えてからお礼状を送るのが一般的です。
ただし、お礼状を送るのが遅れてしまう場合もあります。その場合は、お詫びの言葉を添えることが大切です。例えば、「ご連絡が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます」といった一文を加えることで、相手に対する配慮を示すことができます。
葬儀後すぐに送るのではなく、法要が終わってから送るのが一般的な理由としては、葬儀直後は遺族が様々な手続きや準備に追われているため、お礼状の作成に時間がかかることが挙げられます。
また、四十九日法要を終えてからお礼状を送ることで、故人の冥福を祈る気持ちが一区切りついたことを伝える意味合いもあります。
送る方法
香典へのお礼状は、香典返しに添えて郵送するのが一般的です。香典返しとは、香典をいただいたことに対するお礼として贈る品物のことで、お礼状と共に送ることで、より丁寧な印象を与えることができます。
直接手渡す場合は、お礼状は不要ですが、口頭で感謝の気持ちを伝えましょう。直接会って感謝の気持ちを伝えることで、より心のこもったお礼をすることができます。その際は、故人の思い出話などを交えながら、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
郵送する場合は、弔事用の封筒を使用し、薄墨の筆ペンで書くのがマナーです。弔事用の封筒は、白色無地の封筒を使用し、水引は黒白または双銀のものを選びます。薄墨の筆ペンを使用することで、悲しみを表すとともに、丁寧な印象を与えることができます。
お礼状を郵送する際には、切手の選び方にも注意が必要です。弔事用の切手を使用するか、普通切手を使用する場合は、地味なデザインのものを選びましょう。派手なデザインの切手は、お祝い事を連想させるため、避けるべきです。
メールでのお礼状について
香典へのお礼状は、基本的にはメールで送ることは避けるようにしましょう。メールは、略式なコミュニケーション手段とみなされることが多く、正式な弔いの場においては、失礼にあたる可能性があります。
しかし、親しい間柄であれば、略式としてメールで感謝の気持ちを伝えても良いでしょう。例えば、親しい友人や同僚など、普段からメールでやり取りをしている相手であれば、メールでお礼を伝えても問題ない場合があります。
ただし、その場合でも、丁寧な言葉遣いを心がけ、感謝の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。
目上の方や会社関係者には、正式な書面でのお礼状を送るのが望ましいです。上司や取引先など、ビジネス上の関係がある相手には、メールではなく、手書きのお礼状を送るのがマナーです。
手書きのお礼状は、相手に対する敬意を示すとともに、感謝の気持ちをより深く伝えることができます。
もし、どうしてもメールでお礼状を送る必要がある場合は、件名に「お礼」という言葉を入れ、本文には、香典をいただいたことに対する感謝の気持ち、葬儀が無事に終わったことの報告、故人が生前お世話になったことへの感謝、香典返しの品を送った旨などを記載します。
また、メールの最後に、今後も変わらぬお付き合いをお願いする言葉を添えることが大切です。
まとめ
香典へのお礼状は、故人を偲び、遺族の感謝の気持ちを伝える大切な礼儀です。 この記事を参考に、マナーを守りながら、 心温まるお礼状を作成してみてください。お礼状は、故人とのご縁を大切にし、 これからも良好な人間関係を築いていくための第一歩となります。
香典を包んでいただいた方々への感謝の気持ちを込め、丁寧に作成することが重要です。 故人の冥福を祈り、遺族の気持ちに寄り添う言葉を選び、 心温まるお礼状を作成しましょう。