葬儀の基礎知識

告別式の基礎知識:流れやマナーを詳しく解説

告別式の基礎知識
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宮坂
宮坂
告別式は、故人を最後に見送り、最期のお別れをする大切な儀式です。しかし、多くの人にとって告別式に参列する機会は限られており、その流れやマナーに戸惑うことも少なくありません。

本記事では、告別式の基本的な定義や成り立ちから始め、一般的な流れ、男性・女性・子供の適切な服装、お焼香の作法、そして参列時に注意すべきポイントまで、詳細に解説します。初めての参列でも安心して臨めるよう、しっかりと準備を整えましょう。

告別式の基本:定義と成り立ち

告別式の歴史と背景

告別式は、参列者が故人との別れを惜しむ場であり、焼香や献花、祈祷といった儀式が行われます。一般的に葬儀の直後に続けて行われ、儀式間の明確な区切りが少ないため、葬儀の一部として捉えられることも多くなっています。しかし、その性質は葬儀とは異なり、宗教色が薄いことが特徴です。葬儀が僧侶などの司式者による宗教儀礼であるのに対し、告別式は喪主が中心となり、参列者全員が故人との別れを惜しむ場として行われます。

告別式の歴史は明治時代に遡ります。日本で最初に告別式が行われたのは、思想家・中江兆民の遺言によるものでした。彼の希望により、宗教色を排除した無宗教葬が行われ、これが告別式の原型となりました。当時はまだ葬儀の簡素化や合理化が進んでおらず、葬列を組んで行う伝統的な葬儀が主流でした。しかし、中江兆民の告別式は新しい葬儀の形として物議を醸しつつも、その後の都市化に伴い、次第に一般化していきました。

今日の告別式は、都市化やライフスタイルの変化に伴い、広く受け入れられるようになり、葬儀の一環として定着しています。それは、宗教に縛られず、誰もが故人との最後の別れを静かに過ごせる場であり、残された人々にとっても心の区切りをつける重要な機会となっています。

葬儀と告別式の違い

葬儀と告別式は、しばしば「葬儀・告別式」と一緒に使われることが多いですが、それぞれ異なる意味を持つ儀式です。その違いを理解することで、故人との最後の時間をより深く感じることができるでしょう。

葬儀とは

葬儀は、故人をあの世へ送り出すための宗教的な儀式です。主に遺族や親族が中心となり、僧侶による読経や引導、戒名授与などの宗教儀礼が行われます。これらの儀式は、故人の霊魂を鎮め、成仏を願うために行われます。特に仏式の葬儀では、僧侶の読経が葬儀の中心的な役割を果たし、その時間が故人のための神聖な時間となります。

告別式とは

一方、告別式は、故人との別れを告げる社会的な儀式です。これは宗教的な要素を持たない場合もあり、故人の友人や知人、一般の参列者が参加して、故人に最後のお別れをします。告別式では、参列者が焼香や献花を行い、遺族に慰めの言葉をかけながら、故人を偲びます。

葬儀と告別式の関係

現代の日本では、葬儀と告別式は続けて行われることが一般的です。葬儀が終わると、そのまま告別式が行われることが多く、儀式の流れとしては一連のものとして認識されがちです。しかし、葬儀が宗教的な儀式であるのに対して、告別式はより社会的な意味合いを持つ点で、二つの儀式には明確な違いがあります。

たとえば、葬儀の一環として遺族や親族が焼香を行うのに対し、告別式では一般の参列者が焼香や献花を行います。また、告別式は火葬前に行われる場合もあれば、火葬後に行われる場合もあり、地域や宗教によっても異なることがあります。

告別式の役割と重要性

告別式は、故人との別れを告げ、その人生を偲ぶための重要な儀式です。故人の功績を称え、遺族を慰め、参列者それぞれが故人との思い出を共有することで、心の整理と癒しを促します。また、故人との別れを儀式的に行うことで、悲しみを乗り越え、新たな章を始めるための心の準備をすることができます。

告別式の流れ

告別式流れ

告別式は、故人との最期のお別れの場として、いくつかの重要な儀式が行われます。以下に、一般的な告別式の流れを説明します。

1. 受付

告別式当日は、まず受付で香典を渡し、お悔やみの言葉を伝えます。会場には余裕をもって到着し、案内に従って手続きを済ませましょう。参列者が多い場合は、受付が複数に分かれていることもあるので、確認が必要です。

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2. 開式

開式が近づくと、葬儀社のスタッフやアナウンスの案内に従い、指定された席に着席します。一般的に、親族席と一般席が分かれているので、案内に従って座りましょう。

3. 焼香

開式後、僧侶の読経に続いて焼香が行われます。焼香は、まず喪主から始まり、故人と縁の深い順に進められます。参列者が多い場合は、焼香の回数が1回に統一されることもあります。焼香後は、喪主や遺族に一礼し、自席に戻ります。親しくない関係の場合、この段階で退席することも問題ありません。

4. 献花(花入れ)

焼香の後、棺に花を入れて故人とお別れをする献花が行われます。喪主や遺族から順に行い、一般参列者も続きます。これは、故人に対する最後の別れの機会であり、非常に感慨深い瞬間です。

5. 釘打ち

次に、棺の蓋を閉じ、釘を打つ儀式が行われます。この儀式は宗派や遺族の意向によって省略されることもあります。近年では、遺族の感情を尊重して釘打ちを行わないケースも増えています。

6. 出棺

最後に、棺が霊柩車に乗せられ、火葬場へ向かう出棺が行われます。一般参列者はここで故人を見送り、解散となります。火葬場への同行は、遺族からの依頼がある場合のみ行いましょう。

告別式の開始時刻は多くの場合は午前中に始まり、1時間~2時間で執り行われるのが一般的です。
地域によっては、火葬場の予約時間から逆算して葬儀・告別式が行われる場合もあります。

 

告別式は、故人との最期の時間を大切に過ごす場です。一連の流れを理解しておくことで、落ち着いて参列し、故人への哀悼の意を表すことができるでしょう。

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男性が告別式で着る服装

男性が告別式で着る服装には、いくつかの重要なポイントがあります。

喪服

喪主・遺族の場合

正喪服を着用するのが本来のマナーです。和装なら紋付羽織袴、洋装ならモーニングスーツを選びますが、手元に正喪服がない場合や家族だけで行う葬儀なら、準喪服としてブラックスーツを選ぶのが無難です。このブラックスーツは、他の葬儀に参列するときにも重宝します。

参列者の場合

参列者として参加する場合も、ブラックスーツが基本ですが、濃いグレーや濃紺のダークスーツでも問題ありません。ただし、無地で光沢のない素材を選ぶことが重要です。ジャケットはシングル・ダブルどちらでも構いませんが、1番上のボタンを必ず留めることを心掛けましょう。

  • 喪主・遺族: 正喪服(和装なら紋付羽織袴、洋装ならモーニングスーツ)
  • 参列者: ブラックスーツまたはダークスーツ(濃いグレーや濃紺)
  • ジャケット: シングルでもダブルでも可(ボタンの止め方に注意)

ワイシャツ

ワイシャツ

白の無地でブロード素材が基本です。ただし、全体が白だとしても、織り柄入りやカラーステッチなどの装飾的なデザイン入りのワイシャツは避けるようにしましょう。襟はレギュラーカラーかワイドカラーを選びます。

ボタンダウンシャツはカジュアルすぎるため、避けるべきです。

ネクタイ

ネクタイは黒の無地で光沢のないものを選び、ネクタイピンを付けるのも控えた方がよいでしょう。

結び目にくぼみ(ディンプル)を作らないように気をつけてください。

靴・靴下・ベルト

靴は黒の内羽根式でストレートチップの革靴が最適で、靴下も黒無地を選んでください。

靴とベルトは黒で統一するようにします。ベルトとの素材はプレーンなレザーで、バックルもシンプルなデザインでシルバーを選ぶようにしましょう。

・靴は素材が革でも、スエードやエナメル、飾り金具がついた靴は避けましょう。

・靴下は白色や柄物の靴下は、スーツの裾から見えると目立つので避けてください。

バッグ

男性は告別式でバッグを持たないのが基本的なマナーです。必要な場合は黒無地の小さなセカンドバッグを持つのがよいでしょう。

アクセサリー

アクセサリーは結婚指輪以外は外するようにしましょう。

時計も葬儀・告別式の時は外するようにしましょう。

ハンカチ

白や黒、グレーのシンプルな無地のものを使用しましょう。柄物や派手なデザインのものはマナー違反となるので注意しましょう。

黒無地がベストです。黒い傘がない場合には、紺色やグレー、ダークカラーであればマナー違反となることはないでしょう。もしそういった色の傘がない人は、透明のビニール傘を使えばマナー違反になりません。

コート

寒い時期にコートが必要な場合は、黒や紺の無地のコートを選びましょう。デザインはなるべくシンプルなものが望ましく、チェスターフィールドやステンカラーのコートがおすすめです。また、革や毛皮などの素材は、殺生を連想させるため避けてください。

香りについて
大勢の方が集まり、お香が焚かれる告別式で、体臭や強い香水で迷惑をかけてはいけません。香りについても配慮するように気をつけましょう。

女性が告別式で着る服装

喪服

女性が告別式で着る服装には、いくつかの重要なポイントがあります。

喪主・遺族側の場合

正喪服を着用するのが本来のマナーです。和装なら黒紋付の着物、洋装ならブラックフォーマルを着用します。これは冠婚葬祭をはじめとする正式な場での弔事に適した服装で、漆黒で光沢のない生地のワンピースやアンサンブルを選びます。

参列者の場合

参列者として参加する場合も、ブラックフォーマルが望ましいですが、黒や紺、グレーなどの落ち着いた色のワンピースやスーツ、セットアップも許容されます。トップスは、胸元が見えないよう襟が開きすぎていないタイプを選ぶようにしましょう。

スカート丈は膝が隠れる長さからふくらはぎまでが理想です。

お葬式・告別式では過度な露出は厳禁です。

靴は黒無地で、布または革製のシンプルなパンプスを選びます。ヒールの高さは3cm~5cm程度で、つま先はラウンドかスクエアがおすすめです。

ストッキング

お葬式では黒色で30デニール以下の薄手のストッキングを着用します。通夜では肌色のストッキングや、寒い時期にはタイツも許容されますが、模様や柄の目立たないものを選びましょう。

バッグ

バッグは黒無地の布製で、光沢のないシンプルなデザインを選びます。サブバッグが必要な場合は、黒色で派手な装飾のないものを選びましょう。

アクセサリー

アクセサリーは基本的に結婚指輪以外は避けますが、真珠の1連ネックレスとイヤリング(ピアス)は許容されます。

2連や3連のネックレスは「不幸が重なる」という意味があるため避けるようにしましょう。

髪型

ショートカットやボブスタイルはそのままで問題ありません。ミディアムからロングヘアの場合は、髪を一つにまとめるか、お団子やシニョンにして清潔感を保ちます。ヘアアクセサリーは黒色のシンプルなものを選びましょう。

メイク

葬儀では控えめな「片化粧」が推奨されます。光沢のあるファンデーションやラメ入りのアイシャドウは避け、ベージュを基調としたナチュラルメイクを心がけます。口紅は薄い色合いで控えめにしましょう。

ネイル

派手なネイルやつけ爪は落とすか、隠すためにベージュ系のネイルを重ねて塗ると良いでしょう。どうしても落とせない場合は、黒い手袋で隠しますが、焼香や食事の際には手袋を外すのがマナーとなっています。

コート

冬場にコートを着用する場合は、黒または濃紺やグレーの落ち着いた色を選びます。襟にファーがついている場合は、殺生を連想させるため取り外すようにしましょう。

ハンカチ

白の無地のハンカチが基本ですが、黒や薄いブルー、ピンクでも派手でなければ許容されます。

雨の日の参列では、黒やグレーの無地の傘を選びます。無い場合は透明のビニール傘でも問題ありません。

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子供が告別式で着る服装

制服がある場合

子供の正式な礼装は、通学先の制服が最も適しています。制服がある場合は、それを着用することで葬儀の場にふさわしい姿となります。校則に則った正しい着こなしが重要で、スカート丈はひざ下、シャツの裾はボトムスに入れるなど、露出を控えた装いを心がけましょう。

制服がない場合

制服がない場合、フォーマルな服装を選びます。トップスは白いワイシャツやポロシャツ、ボトムスは黒、グレー、紺などの地味な色のズボンやスカートが望ましいです。派手な色柄やデザインは避け、落ち着いたトーンの服装を心がけます。

靴と靴下

靴は黒色が基本で、靴下も黒、グレー、紺などの地味な色か白色が無難です。キャラクターが入ったものや、光る靴は避けるようにしましょう。

幼児や乳児の場合も、なるべく黒色や地味な色の服装を選ぶことで問題ありません。

告別式の持ち物

数珠

告別式や葬儀では、多くの場合仏式が採用されており、数珠は重要な持ち物の一つです。お焼香の際に必要になるため、仏教の宗派に関係なく、数珠を持参することが一般的です。ただし、キリスト教や神道など、仏教以外の宗教儀式では数珠は不要です。

数珠には「本式数珠」と「略式数珠」の2種類があります。本式数珠は宗派ごとに決まった形があり、それぞれの宗派に特化した格式高い数珠です。これはその宗派の儀式でのみ使用されます。一方で、略式数珠は「片手念珠」とも呼ばれ、宗派を問わずどの仏教儀式でも使用できます。宗派が不明な場合や、迷ったときは略式数珠を持つとよいでしょう。

なお、数珠は貸し借りせず、自分自身のものを使用するのが基本的なマナーです。仏教徒でない場合は、数珠を持たなくても問題ありません。

袱紗(ふくさ)

告別式やお通夜などの弔事の場面では、香典袋を「袱紗(ふくさ)」に包んで持参するのがマナーです。弔事の場合、袱紗は黒、グレー、紺といった寒色系の落ち着いた色を選ぶのが一般的です。

受付で香典を渡す際は、袱紗から丁寧に取り出して渡します。もし袱紗がない場合、ハンカチで代用することも可能ですが、できるだけ袱紗を用意しておくと良いでしょう。

弔事用と慶事用を別々に揃えることが理想ですが、難しい場合は紫色の袱紗を選んでおけば、どちらの場面でも対応できます。

一般的なお焼香の作法

お焼香

宗派によって細かい作法は異なりますが、基本的なやり方は同じです。ここでは一般的な動作を確認しておきましょう。

1.焼香台に進む前に、遺影や祭壇に向かって軽く一礼します。

2.焼香台に進み、右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまみ、目を閉じて頭を垂れるようにして、額の高さまで捧げます。

3.つまんだ抹香を静かに香炉の中へ落とし、合掌をします。

4.お焼香が済んだら遺影や祭壇の方を向いたまま下がり、遺族の方を向き一礼し、席へ戻ります。

告別式に参列するときの注意点

香典には新札を使わない

香典に包むお札には新札を使わないのがマナーです。新札を使うと、故人の死を準備していたような印象を与えてしまうためです。もし新札しかない場合は、一度折り目をつけてから包むようにしましょう。また、「死」や「苦」を連想させる4や9のつく金額は避けるようにします。

私語を慎む

告別式の場では私語を慎むことが重要です。遺族や参列者への配慮として、故人に対するお悔やみの言葉を短く述べ、長話は避けましょう。どうしても話が必要な場合は、葬儀会場の外で行うようにします。また、携帯電話の電源は切り、静かに故人を偲ぶ時間を尊重しましょう。

忌み言葉を使わない

お悔やみの際には「重ね重ね」「次々」など、不幸が繰り返されることを連想させる「忌み言葉」を避けることが大切です。また、「死亡」「生きていた頃」といった直接的な表現も避け、「お亡くなりになった」などの表現を用いるようにしましょう。

派手な装飾や露出の多い服装は避ける

告別式では、光る素材や派手な装飾のついた服やアクセサリー、動物柄や露出の多い服装はマナー違反です。シンプルでツヤのない黒色の服装を選び、落ち着いた装いを心がるようにしましょう。

遅刻しない

告別式に遅刻することは避けるべきです。やむを得ず遅刻した場合は、読経中には席に着かず、しばらく待ってから静かに参列するようにしましょう。焼香の際には、遅刻したことを態度で詫びることが重要です。

死因を聞かない

急な訃報の場合、「何で亡くなったのか」を遺族に尋ねるのは失礼にあたります。遺族から話がない限り、根掘り葉掘り聞かずにお悔やみの言葉だけを述べるようにしましょう。

まとめ

告別式とは何か、その流れやマナー、そして避けるべき行動について詳しく説明しました。告別式は故人との最後のお別れの場であり、ご遺族にとっても非常に感情的な瞬間が多い儀式です。参列者する際は、ご遺族の心情に最大限の配慮を払い、失礼な行動やマナー違反を避け、細心の注意を払うようにしましょう。