葬儀の基礎知識

葬儀の芳名帳の書き方は?夫婦や代理の場合、マナーについて解説

葬儀の芳名帳の書き方は?
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宮坂
宮坂
葬儀に限らず、結婚式等において、受付で名前や住所を記入したことがあるが、記入した帳面のことをご存知ない方も多いのでないでしょうか。

今回は、受付で記帳する「芳名帳(ほうめいちょう)」の目的や正しい書き方や芳名帳に関するマナーについてで紹介していきます。
個人だけではなく、夫婦や会社名義で書く場合も含めて解説していますので、事前に確認をしておきましょう。

芳名帳とは

芳名帳

葬儀に参列した経験のある方は「芳名帳(ほうめいちょう)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。芳名帳とは、葬儀に参列してくれた方に「名前」と「住所」を記入してもらうノートのことです。これは、故人の知り合いや親族が多数参列する中で、遺族が参列者を把握するための重要な役割を果たします。

「芳名」とは、名前を敬って使う言葉であり、相手を敬う場面で使用されます。そのため、芳名帳は、参列者に対する尊敬の意を込めて名付けられています。一般的には葬儀の受付で準備され、会葬者は受付で芳名帳に記帳し、香典を渡した後に会場に入ります。通夜と葬儀の両方に参列する場合には、それぞれの芳名帳に記入するのが通例です。

芳名帳は葬儀だけでなく、結婚式やイベントなどの冠婚葬祭でも使われ、その際は「ゲストブック」と呼ばれることもあります。近年ではノート型だけでなく、一枚一枚名前を書けるカード型の芳名帳も普及しており、形式は異なるものの用途は同じです。

葬儀終了後、遺族は芳名帳を基に「香典帳」を作成し、頂いた香典の情報を整理します。この香典帳をもとに、お礼状や香典返しを送るため、記帳する際には名前や住所を正確に記入することが重要です。芳名帳は、参列者名簿として機能し、遺族が後日感謝の意を伝えるための大切な資料となります。

また、芳名帳は葬儀以外の法要の案内や香典返しを贈る際にも利用されます。特に大勢の参列者が予想される一般葬では、参列者を正確に把握するために欠かせないツールです。参列者に対する思いやりとして、芳名帳に丁寧に記帳することが礼儀とされています。

以上のように、芳名帳は葬儀において非常に重要な役割を担っており、参列者と遺族の間の礼儀と感謝の橋渡しをするものとばっています。

芳名帳の書き方

葬儀に参列する際、芳名帳に記入する方法は参列者の立場や状況によって異なります。以下に、代表的な記入方法をまとめます。

個人で参列する場合

個人で参列する際は、芳名帳に「自分の氏名」と「住所」を正確に記入します。名前はフルネームで、住所は番地まで丁寧に書きましょう。郵便番号も忘れずに記入してください。長期間ご無沙汰していた場合などは、旧姓も併せて書いておくと良いでしょう。

夫婦や家族で参列する場合

夫婦や家族で参列する場合は、以下のように記入します。

  • 夫婦で参列する場合:夫の名前をフルネームで書き、次に妻の名前を夫の名前の隣(縦書きの場合は左側、横書きの場合は下)に記入します。妻の姓は省略してもかまいません。
  • 家族で参列する場合:夫の名前をフルネームで記入し、その隣(縦書きの場合は左側、横書きの場合は下)に妻の名前、さらにその隣に子どもの名前を順に書きます。子どもの姓も省略して良いです
  • カード型の芳名帳:夫婦それぞれが1枚ずつ記入します。家族で1枚にまとめて書く場合は、全員の名前を記入しましょう。

仕事の関係で参列する場合

仕事関係で参列する場合は、以下のように記入します。

  • 個人的に参列する場合:勤め先の正式名称、所在地、所属部署を記入した後、自分の氏名と住所を記入します。
  • 会社の代表として参列する場合:会社の住所、会社名、部署名を記入し、その後に「代表」と記入して自分の名前を書きます。会社の住所など間違いがないように、名刺を持参すると便利です。

代理として参列する場合

代理として参列する場合は、以下のように記入します。

  • 上司の代理として参列する場合:会社名、部署名、上司の役職、上司の氏名を記入し、その隣に「代理」と書いてから自分の名前を記入します。自分も香典をお供えする場合は、自分の住所・氏名も別に記帳します。
  • 夫の代理として参列する場合:夫の氏名を記入し、その左下に「内」と書きます。この場合、妻の名前は記入しません。

いずれのケースでも、芳名帳の記入は正確かつ丁寧に行い、葬儀の受付で代理である旨を伝えるとスムーズです。

基本的な書き方

芳名帳には、基本的に「氏名」と「住所」を記入します。縦書きの場合、住所の数字は漢数字で書き、ゼロは〇で表現します。通常は住所を先に書き、その後に氏名を書きますが、その時々で異なることもあります。

芳名帳は、参列者の立場によって書き方が異なる点に注意し、適切な記入方法を用いることで、遺族に対する礼儀を尽くしましょう。

葬儀の芳名帳の記入例

葬儀の芳名帳はどのように書くのか、記入例を記載します。

芳名帳記入例

芳名帳に関するマナー

葬儀において芳名帳の記入は重要な儀式の一環です。芳名帳に関する基本的なマナーを守ることで、遺族や関係者に対して礼儀を尽くすことができます。以下に、芳名帳の書き方と関連するマナーについてご紹介します。

お悔やみの言葉を述べる

葬儀会場に到着したら、最初に受付に向かいます。受付での挨拶は「言葉数を少なく」シンプルに行いましょう。「この度はご愁傷様です」「心からお悔やみ申し上げます」といった短い言葉で十分です。仏式の葬儀ではお悔やみの言葉を伝えますが、キリスト教式の葬儀では死は不幸ではないとされるため、お悔やみの言葉は不要です。受付が混雑している場合は、無言で軽く会釈するだけでも問題ありません。

芳名帳を書く際のマナー

芳名帳を書く際のマナー

芳名帳には、はっきりと読みやすい字で楷書体で記入することを心がけましょう。名前や住所は略さず丁寧に書きます。特に数字はしっかりと書き、郵便番号も省略せずに記入します。自分の解釈や癖で崩して書かないよう注意しましょう。記帳の際にわからないことがあれば、受付の方に確認すると良いでしょう。

香典の渡し方

香典の渡し方

香典は袱紗に包んで持参します。ポケットからそのまま出したり、ビニール袋に入れたまま渡すのはマナー違反です。葬儀の受付で袱紗から香典袋を取り出し、相手に正面が向くようにして両手で渡します。袱紗の色は、紫、紺、グレーなどのシックな色を選びましょう。

香典を渡すタイミングは、通夜に参列する場合は通夜で、葬儀に参列する場合は葬儀で渡します。通夜と葬儀の両方に参列する場合、それぞれで記帳は必要ですが、香典はどちらか一方で渡し、その旨を受付で伝えると良いでしょう。

葬儀の場では、「くれぐれも」「たびたび」などの重ね言葉や、「苦しい」「浮かばれない」といった忌み言葉は避けるようにしましょう。言葉数を少なくし、シンプルに挨拶することが賢明です。

芳名帳の管理(遺族側)

遺族側では、芳名帳に通し番号を印刷しておき、香典袋にも同じ番号を書き込むことで、後の管理が容易になります。最近では、複写式の芳名帳や香典帳もあり、セレモニースタッフの手助けを借りることも可能です。

芳名帳の保管と処分(遺族側)

芳名帳は香典返しや四十九日を過ぎても、その後の法要の際に使用するため、10年程度は保管しておくのが一般的です。処分する際は、個人情報が含まれているため、シュレッダーなどで処分することをおすすめします。

まとめ

芳名帳の書き方やマナーについて解説しました。芳名帳は葬儀の際に重要な役割を果たし、後日のお礼や香典返しに役立ちます。個人で参列する場合は基本情報を丁寧に記入し、代理で参列する場合や会社の代表として参列する場合は、適切な情報を記入します。遺族に迷惑をかけないためにも、事前に記入方法を確認し、当日はわからないことがあれば受付や葬儀会社のスタッフに確認するようにしましょう。