この記事では、そうした「お別れ会」における「香典」に関する疑問、特に「金額」の相場を中心に、香典の要不要、渡す際のマナー、会費制の場合の対応などについて、詳しく解説していきます。故人を心穏やかに見送るためにも、ぜひこの記事を参考に、適切な対応をできるようにしましょう。
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お別れ会における香典の基本
お別れ会では、従来の葬儀・告別式とは異なり、香典を辞退するケースが非常に多く、必ずしも香典を持参しなければならない、というわけではありません。
香典が必要かどうかの見分け方
お別れ会において香典を用意すべきかは、案内状の文面によって判断するのが基本です。以下のような記載があった場合は、それに従いましょう。
案内文例 | 意味 |
---|---|
「香典の儀はご辞退申し上げます」 | 持参不要 |
「お気持ちのみ頂戴いたします」 | 香典なしで結構です |
記載なし or 「ご香典をお持ちいただけますと幸いです」 | 持参が望ましい |
案内状に「香典辞退」の記載がある場合や、会費制の場合には、香典を持参する必要はありません。遺族の意向を尊重し、指示に従うようにしましょう。
案内状に香典に関する記載がない場合は、一般的に香典を持参するのがマナーです。ただし、故人との関係性や地域の慣習などを考慮して判断しましょう。
例えば、親しい友人や親族の場合は香典を持参するのが一般的ですが、会社の同僚や知人の場合は、香典の金額を抑えたり、供花やお供え物を贈るという選択肢もあります。
お別れ会の香典金額の相場
故人との関係性による金額の違い
香典の金額は、故人との関係性によって異なります。親族、友人、仕事関係者など、関係の深さに応じて適切な金額を包むようにしましょう。一般的に、親族の場合は、故人との関係が深いため、香典の金額も高くなる傾向があります。
故人との関係 | 香典の金額相場 |
---|---|
両親 | 1万~5万円 |
兄弟姉妹 | 1万~3万円 |
祖父母 | 5千~1万円 |
叔父・叔母 | 5千~1万円 |
友人・知人 | 3千~1万円 |
職場関係 | 3千~5千円 |
飲食の有無による金額の目安
お別れ会で飲食が提供されるかどうかによっても、香典の金額は変わります。飲食に参加する場合は、その費用も考慮して金額を決めるようにしましょう。
飲食が提供される場合は、香典の金額に加えて、飲食代として追加で包むこともあります。飲食代の目安は、3千円から1万円程度が一般的です。
飲食に参加しない場合は、香典の金額のみで問題ありません。ただし、飲食に参加しない場合でも、故人への弔意を示すために、香典の金額を少し上乗せすることも考えられます。
香典の金額を決める際は、飲食の有無だけでなく、自身の経済状況や故人との関係性なども考慮して判断するようにしましょう。
香典袋(のし袋)の選び方と表書きのマナー
香典袋の種類と選び方
お別れ会では、葬儀より簡素な香典袋が選ばれる傾向にあります。
金額 | 香典袋の目安 |
---|---|
~5千円 | 白無地または印刷された水引のもの(コンビニでも可) |
~1万円 | 黒白の水引が印刷された略式タイプ |
1万円以上 | 実際の水引(黒白または双銀)のものを使用 |
お別れ会では、必ずしも宗教的儀礼が行われるとは限りませんが、宗教的な要素が含まれている場合には、宗教・宗派によって適切なものを選ぶようにしましょう。
仏式の場合は、蓮の花が描かれた香典袋が一般的です。神式の場合は、白無地の香典袋を使用します。キリスト教式の場合は、十字架や百合の花が描かれた香典袋を使用します。宗教・宗派が不明な場合は、無地の香典袋を使用するのが無難です。
香典袋には、水引が付いているものと付いていないものがあります。水引は、香典袋を飾る紐のことで、弔意を表す意味があります。水引の色は、黒白、双銀、藍銀などが一般的です。
水引が付いていない香典袋は、主にキリスト教式で使用されます。香典袋を選ぶ際には、金額に見合ったものを選ぶようにしましょう。金額が少ない場合は、シンプルな香典袋を選び、金額が多い場合は、豪華な香典袋を選ぶのが一般的です。
表書きの書き方

お別れ会では、必ずしも宗教的儀礼が行われるとは限りませんが、宗教的な要素が含まれている場合には次のような表書きを使い分けましょう。
宗教・形式 | 適した表書きの例 |
---|---|
仏式 | 御霊前、御香典、御仏前(※四十九日以降の場合) |
神道 | 御玉串料、御霊前、御榊料 |
キリスト教 | 御花料、献花料、御ミサ料(カトリック) |
宗教色がない(自由形式のお別れ会) | 御香典、御霊前、御花料 などの宗教色が薄い表現 |
表書き(外袋)
水引より上の段中央に、宗教や宗派に合わせた名目(「御霊前」「御仏前」「御玉串料」「御花料」など)を書きます。故人の宗教が分からない場合は「御霊前」が最も無難です。(ただし、浄土真宗では「御霊前」は使わず「御仏前」とするのが一般的です。)
水引より下の段中央に、自分の氏名を書きます。姓だけでも構いませんが、フルネームで書くのがより丁寧です。複数人で連名にする場合は、目上の方を右側にし、左に連ねて書きます。
3名までの場合は氏名を書きますが、4名以上の場合は代表者の氏名を中央に書き、その左に「他一同」と添え、別紙に全員の氏名と住所を記載して中袋に入れます。
使用する筆記具は、薄墨が基本です。「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」という気持ちを表すとされています。ただし、最近では濃い墨で書いても特に問題視されないことも増えています。
表書き用の筆ペン(薄墨タイプ)が便利です。
中袋
中袋の表側には、包んだ金額を旧字体で縦書きするのが正式なマナーです。「金〇萬圓」のように書きます。「壱」「弐」「参」「伍」「拾」「阡」「萬」「圓」といった文字を使います。例えば、5,000円なら「金伍阡圓」、10,000円なら「金壱萬圓」、30,000円なら「金参萬圓」、100,000円なら「金拾萬圓」と書きます。
中袋の裏側には、自分の氏名と住所を記載します。郵便番号も忘れずに書きましょう。これは、遺族が香典帳を作成したり、後日香典返しをする際に必要となる情報です。
香典に入れるお札は、基本的に肖像画が印刷されている面を裏側にして、お札の肖像画が香典袋の下側に来るように入れます。複数枚入れる場合も、向きを揃えて入れます。新札は準備していたように聞こえてしまうため、できれば折り目のついたお札を選ぶのがマナーとされています。
香典の渡し方
受付がある場合は受付で、受付がない場合は遺族に直接お渡しします。お悔やみの言葉を添えて、丁寧に渡しましょう。受付がある場合は、受付担当者に「この度は心よりお悔やみ申し上げます」などのお悔やみの言葉を添えて、香典を渡します。
受付がない場合は、遺族の方に直接お渡ししますが、その際も同様に、お悔やみの言葉を添えましょう。
渡し方のマナー
香典は袱紗に包んで持参するのがマナーです。袱紗は、香典を汚したり、水引が崩れたりするのを防ぐ役割があります。袱紗の色は、紫、紺、グレーなどの落ち着いた色を選ぶのが一般的です。慶事用の袱紗と弔事用の袱紗があり、弔事には地味な色合いの袱紗を使用します。

包み方は弔事の場合、袱紗を開いてひし形に広げ、香典袋を中央やや右寄りに置きます。次に、右側の布を香典袋の上に被せ、次に下側、上側の順に折り、最後に左側の布を折り返して余った部分を裏側に折り込みます。結婚式などの慶事とは折り方が逆になります。
香典を渡す際には、受付で袱紗から香典袋を取り出し、袱紗を軽くたたんで台にするか、袱紗の上に香典袋を乗せます。そして、相手(受付係や遺族)から見て正面になるように向きを変え、両手で差し出します。
「この度は心よりお悔やみ申し上げます」など、簡潔で丁寧なお悔やみの言葉を添えましょう。お悔やみの言葉は、故人のご冥福を祈り、遺族の方を慰める気持ちを伝えるものです。
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香典辞退時の対応
お別れ会の招待状や案内文に「香典辞退」「供花・供物はご遠慮申し上げます」などの記載がある場合は、その意向を尊重することが最も大切なマナーです。
このような場合、「香典を持参しない」という選択を尊重することがマナーとなりますが、そうは言っても「手ぶらで行くのは失礼では?」と感じる方も少なくありません。そこで、香典の代わりにできる心遣いや、当日の対応について詳しくご紹介します。
お悔やみの手紙・メッセージカード
簡単なお悔やみの言葉を添えた手紙やメッセージカードを持参することは、非常に丁寧な印象を与えます。これは、市販の無地の便せんや控えめなデザインのカードに、故人との思い出やご遺族へのいたわりの気持ちを綴ることで実現できます。
なお、香典袋の代わりに、現金を添えずメッセージのみを封筒に入れて持参する場合は、「御悔やみ」や「御挨拶」などと記載するとよいでしょう。
お花や供物
香典を辞退されている場合でも、弔意を形にしたいと考えるなら、遺族の了承が得られている場合に限り、小さな花束や供物を手配することも選択肢の一つです。
ただし、香典辞退と同時に供花も遠慮してほしい旨が明記されている場合は、その意向を尊重し、避けるようにしましょう。もし花を贈る運びとなった際には、白を基調とした落ち着いた色味のアレンジを選ぶようにしましょう。
寄付
香典辞退の形として、一部のご遺族では、「香典代わりに○○団体への寄付をお願いします」といった案内がある場合もあります。
このような場合は、案内に従って寄付を行い、寄付した旨を簡単なメッセージで伝えると丁寧でしょう。なお、領収証などは手渡しせず、あくまで自己完結の気持ちで行動するのがポイントです。
会の運営を手伝う
故人と特に関係が深かった場合などは、香典ではなく、受付や案内係などのお手伝いを申し出るのも一つの誠意の示し方です。
会費制のお別れ会の場合
会費制のお別れ会は、参加者があらかじめ決められた一定の「会費」を支払うことで成立する形式です。この会費には、会場費、飲食費、返礼品(引き出物)などが含まれていることがほとんどです。
従来の葬儀のような多額の香典ではなく、参加者から一律に費用をいただくことで、遺族の金銭的な負担を軽減し、参加者も費用を気にせず気軽に参加できるように配慮されています。
会費制の場合は香典は基本的に不要
会費制のお別れ会では、会費を支払うこと自体が、故人へのお供えや遺族への弔意を示す行為とみなされます。 そのため、別途香典を持参する必要は基本的にありません。招待状に「会費制」である旨と会費の金額が明記されている場合は、指示に従って会費のみを持参しましょう。
会費の金額相場
会費制のお別れ会の会費の相場は、開催される場所や会の内容によって大きく異なりますが、一般的には10,000円~20,000円程度が多いようです。
- ホテルや専門式場: 15,000円~20,000円程度
- レストランや平服で行われる会場: 10,000円~15,000円程度
会費に飲食代が含まれているため、一般的な葬儀の香典相場(友人・知人:5千円~1万円)と比較すると高めに感じるかもしれません。会費の金額は招待状に明記されていますので、そちらを確認してください。
会費の支払い方法
会費の支払い方法も招待状に記載されているため、そちらを確認するようにしましょう。
当日受付で支払う場合
会費を袱紗(ふくさ)などに包んで持参し、受付で渡します。お札は新札でも旧札でも構いませんが、きれいなお札を用意するのが望ましいです。お釣りが出ないようにぴったり用意するようにしましょう。
事前に銀行振込で支払う場合
招待状に振込先口座が記載されている場合は、指定の期日までに会費を振り込みましょう。
香典返しはお別れ会でも必要?
お別れ会では、特に会費制の場合や香典辞退の意向が強い場合、香典返しを行わないケースが多いです。
会費制の場合
会費に返礼品(引き出物)が含まれていることがほとんどです。この返礼品が、実質的な香典返しに当たると考えられます。会
香典辞退の場合
香典を受け取っていないため、香典返しは当然不要です。もし辞退したにも関わらず無理に香典を渡された場合でも、その場で固辞するのが基本ですが、受け取ってしまった場合は、後日改めて感謝の気持ちを伝えたり、お礼の品を贈るかなどを検討しますが、必ずしも香典返しという形式に則る必要はありません。
もし、香典の代わりに供花や供物をいただいた場合は、後日、お礼状を送ったり、改めてお礼の言葉を伝えるなど、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
お別れ会での香典に関するよくある疑問Q&A
無理に現金を渡そうとするのは避けましょう。それでも弔意を形で表したい場合は、供花、供物、弔電、後日の弔問、お悔やみの手紙などを検討するようにしましょう。
香典を受け付ける形式のお別れ会で欠席する場合は郵送しても良いでしょう。郵送する場合は現金書留で送るようにし、お悔やみの手紙を添えることを忘れないようにしましょう。会費制または香典辞退のお別れ会で欠席する場合は香典を送る必要はありません。
親御さんと一緒に子供がお別れ会に参列する場合、子供名義で香典を包む必要は基本的にありません。親御さんの香典に含めて包むのが一般的です。
親族は葬儀と同様に故人への想いを金額で表す傾向があり、1万円~3万円が一般的です。
まとめ
お別れ会での「香典」について、最も重要なポイントは、従来の葬儀とは異なり、必ずしも香典を持参する必要はなく、むしろ辞退されるケースが多いという点です。まずは招待状や案内状をよく確認し、主催者の意向を把握することが第一です。
もし香典を受け付ける形式で、香典を渡す必要がある場合の「金額」相場は、故人との関係性や自身の年齢によって異なりますが、一般的な葬儀の相場(友人・知人なら5千円~1万円、親族なら故人との関係性に応じて1万円~10万円以上)を参考に、無理のない範囲で包むのが良いでしょう。
金額を決める際は、忌み数(4や9)を避けるといったマナーにも配慮が必要です。香典を渡す場合のマナーとして、適切な香典袋の選び方、薄墨での表書き・中袋の書き方、お札の向き、袱紗への包み方、受付での言葉遣いなどがあります。
これらは一般的な葬儀のマナーと同様ですが、故人や遺族に失礼のないように、丁寧に準備するようにしましょう。
そして、忘れてはいけないのは、お別れ会に参加する最も大切な目的は、形式にとらわれることではなく、故人を偲び、故人との思い出を分かち合い、そして遺族に寄り添う気持ちを示すことです。
香典はあくまで弔意を形にする一つの方法にすぎませんので、香典のことで過度に悩むよりも、故人を想う気持ちを大切にしましょう。
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